活動の記録

2016年度 第2回研究懇話会

2016年12月17日 17時00分 [関東私立管理者]
研究懇話会

2016/12/17  2016年度 第2回研究懇話会

テーマ:教職課程激変か!!  ―私学の目指す教員養成の方向性は

 

日時:20161217() 13:30~17:00

場所:帝京平成大学中野キャンパス7702教室

 

【タイムテーブル】

13:30~13:45  開会のことば、会長挨拶、研究部長挨拶

13:45~14:45   基調講演

15:00~17:00   シンポジウム

 

【登壇者紹介】

<基調講演> 開放制の教員養成の行方

油布佐和子氏(早稲田大学教職研究科教授)

発表要旨:

油布佐和子氏から、近年文部科学省が行ってきている教員の制度改革の動きについて、その政治性と問題性を指摘した上で、海外での教員養成・教員研修の動向にもふれながら、私学の教員養成をどのように構想していくのかをめぐって基調講演がなされた。油布氏によれば2015年末の中教審答申(184号)は教員の養成・採用・研修すべてにわたる改革の流れの集大成である。答申が示したのは教員養成の体制と内容という点で大学の教員養成に介入するものであり、多くの私学が担ってきた開放制の教員養成をなし崩しにするものである。たとえば「育成指標」の作成、「教員育成協議会」の設置は教員養成のヘゲモニーが大学から外部に移ることを意味している。答申が示す教員養成の体制と内容をこのように整理した上で、何のための教育であり、どのような教員を養成するのかという原点に立って教員養成を構想し実行していくことが私学の課題であると結ばれた。

 

<シンポジウム> 今後の教員養成と私学の対応

   佐藤幹男氏(石巻専修大学人間学部教授) 

発言要旨:

 最近の教育政策の動きについて説明いただいた上で、「教育公務員特例法等の一部を改正する法律」の中でも、「教員育成協議会」の制度化において懸念される点についてお話いただいた。「大学における養成」段階の位置づけや、教職大学院を含む大学等と教育委員会の「連携」の影響について懸念される内容についてお話があった。このような動きが教師教育の全段階で教員の質を管理する政策の一環になっていかないための取り組みが必要であるとの指摘があった。

 

   走井洋一氏(東京家政大学家政学部教授) 

発言要旨:

私学における再課程認定の対応について、教職課程担当教員の立場からお話を頂いた。教育公務員特例法等の一部を改正する法律について、私立学校教員の養成と研修についての課題について示され、今後の再課程認定申請においては、教員に求められる項目の積み上げにより、自らの研究を研究領域全体のなかで位置付けるとともに、研究の根幹をなす「見方・考え方」を共有する内容へと変容することを期待していると説明された。

 

   島信行氏(創価大学教育学部・教職大学院事務室事務長)

発言要旨:

教員免許法改正に伴う再課程認定申請の事例紹介として、創価大学の準備状況について報告いただいた。答申の「見直しイメージ」をもとに求められる専任教員の業績や相当関係などを各学部に情報提供し、課程の存続を検討してもらったところ、経済・法・経営学部などで社会科免許の廃止が決定された。現在は平成29年度前期までに全課程の教職科目・担当教員の決定を目指し、教職キャリアセンターを中心に、申請案が適切かどうかの検証を進めている。

 

このあと、参加者全員で5~6人の小グループに分かれ参加者勤務校の再課程認定に向けての取り組みについて意見交換を行い、必要があればグループ討議後に登壇者に質問をする事になった。

 

グループ討議終了後に2名の参加者より本懇話会の登壇者に質問があった。

 

山崎鎮親氏(相模女子大学)からは、①課程認定の取り下げ指導の過程はどのようなものだったのか、②大学独自の指導指針、指標を作ってもよいのではないかという質問があった。①については、島信行氏より事務方で免許の取得状況、採用状況等や、法令上の問題点等の詳細な資料を作成した上で、半年程度の時間をかけて学部で検討する作業を実施。最後は学部長が課程の取り下げの可否を判断したとの回答があった。②については、早稲田大学油布佐和子氏より、指導指針、指標を作成する場合はその指針、指標によってどのような教師が育成されるかをイメージする必要があると述べた。

 

長沼秀明氏(川口短期大学)からは大学間・学生間格差について今回の改訂ではどのような意味をもつのかという質問があった。東京家政大学走井洋一氏は大学間格差については大量採用時代に対応した諸制度により生じたものであるとの見解を示され、現在のさまざまな制度については大学側でも組み立て直す必要があるとの持論を述べられた。