2016年度 定期総会報告・合同研究大会
2016年5月14日 18時30分 [関東私立管理者]日時:2016年5月14日(土)11:45~12:50
2016年度定期総会議事録.docx
総会に引き続き、東京地区教職課程研究連絡協議会との合同研究大会が、14~17時に開催された。
【タイムテーブル】
基調講演 14:05~15:00
シンポジウム 15:15~17:00
シンポジスト2名による発表
参加者による意見交換
【登壇者紹介】
<基調講演> テーマ 教員養成の立場からアクティブ・ラーニングを問い直す
川島啓二氏(九州大学基幹教育院教授)
平成27年(2015年)3月に、国立教育政策研究所から出された、「教員養成教育における教育改善の取組に関する調査研究 ~アクティブ・ラーニングに着目して」という報告書作成にあたって、「教員養成にかかわる大学教員の授業改善並びに指導力向上に関する研究班の班長をされた。
さまざまな言語活動や協働的な学習活動等によって、新たな学びを支える教員養成と、学び続ける教員像の確立が求められていると指摘している。また、ICTの活用などの今日的な課題に対して、教員の専門的知識・技能を向上させることを目指している。
川島氏は、ご自身が実施された国立教育政策研究所の調査研究の成果を踏まえ、教員養成とアクティブ・ラーニングというテーマについて、1990年代後半以降の高等教育改革の流れという文脈から講演された。
近年の高等教育改革の政策言説では、課題探求や主体的な学修など「予測困難な将来」社会に対応する人間の育成が強調されてきた「アクティブ・ラーニング」というテーマにはその現在的な表現という面があり、人間観や教育の目標に関わる大きな課題として引き取ることができるという。そして、授業改革のレベルにとどまらず、教員育成システムの改革という大きな課題にむすびつくものとして考えるべきであると講演が結ばれた。
<シンポジウム>
① 杉原真晃氏(聖心女子大学教育学科准教授)
ユニークな経歴の持ち主。子供が好きで、幼稚園の先生を目指し、小学校教員、特別支援学校教員を経て、幼稚園の現場の仕事に就いた経歴を持つ。その後、さらに専門的に勉強したいという気持ちに押されて大学院に進み、研究者となる。
アクティブ・ラーニングを推奨する論文を執筆。
また、文科省の「教員養成にかかわる大学教員の授業改善並びに指導力向上に関する研究班」の所外委員として活躍している。
https://www.u-sacred-heart.ac.jp/interview/msugihara.html
発表要旨:
幼児教育や教員養成課程での豊富な実践をもとに、アクティブ・ラーニングの意味と大切にしたい要素について説明された。要素として、「真正な学び」であること、教育者と学習者がともに愉しむ「共愉性」があること、教師と子どもの二人称的関係性の必要が示された。
アクティブ・ラーニングの実践は、組織構成員による協働的、相互作用的な展開によって、レジリエンス(resilience)の高い教育チームの創出につながると締めくくられた。
② 河口竜行氏(渋谷教育学園渋谷中学高等学校教諭)
高等学校におけるアクティブ・ラーニング型授業を普段から実践している。学校目標は「自調自考」である。次分で調べ、自分で考えるということで、アクティブラーナーを養成する学校であると自負している。生徒は、高校1年から1年以上をかけて「自調自考論文」を作成することが課せられる。
発表要旨:
勤務校の簡単な紹介のあとで授業等での実践例を説明された。渋谷教育学園渋谷中学高等学校では外部のコンクール、他の学校、団体との協同の取り組みにも生徒を自主的に参加させている。また、従来の授業形式とは異なるグループやクラス単位での課題探究を活発に行っている。
このような取り組みに対して、学力の向上が望めるのかという懸念が保護者や教育委員会などから出る一方で、アクティブラーニングが最終的に大学受験での成果にもつながっている事もあわせて示された。